とあるセレブの誕生秘話⑩
- abcdmattya
- 2019年12月7日
- 読了時間: 3分

「あなたのことはそれほど(前編)」
時は3か月ほど前に遡る。

ルーシー「はい、コリンズです」
マネージャー「ああ!コリンズさん!!大ニュースですよ!」

マネージャー「実はルーサム監督が手掛けている作品で急遽ヒロイン役が降板しちゃったんですけど、その代役がコリンズさんに決まりました!!」
ルーシー「...!!本当ですか!?」

マネージャー「しかも驚かないでください?主役で共演するのがあの大物、フィルマン・コルティさんなんですよ!」

ルーシー「...」
マネージャー「...あれ?もしもし、コリンズさ~ん?」
...
そして撮影当日。

マネージャー「ルーサム監督、コリンズが入りました」
監督「おお!」

監督「ルーシーちゃんお久だね。急な依頼になっちゃって申し訳ない。今日はよろしく頼むね」

ルーシー「はい!こちらこそよろしくお願いします」

フィルマン「やあ、みなさんごきげんよう」

監督「コルティ君、おはよう。バタバタしちゃったが、引き続きよろしくね」
フィルマン「はい」

監督「それから、この子が今日助っ人として入ってくれる女優、ルーシー・コリンズちゃんだ」

フィルマン「ああ、噂はかねがね。どんな演技をしてくれるのか楽しみだ」

監督「彼女は実力派だよ。最近の躍進はすごいものだ」
フィルマン「...それはなにより」

フィルマン「まあそんなことはともかく、くれぐれも私の足を引っ張るようなことはしないでおくれよ?コリンズさん」

ルーシー「重々承知しております。コルティさん」

...
マネージャー「(え...なにこの空気...)」
不穏な空気が流れる中、撮影がスタート。

何事もなくスムーズに撮影が進んでいった。

現場スタッフ「あの新人女優さんすごいっすね。プロ並みの演技力じゃないですか。。」

監督「当り前じゃないか。僕が見込んだ子だからね」

現場スタッフ「彼女を代役に抜擢したのには何か理由が?さっき見た感じ、コルティさんと面識があるようでしたけど?」

監督「...まあ、すぐにわかるよ」

...そしてラストシーンの撮影。

ルーシー「(セリフ)わたし、まだ怖いんです。本当にあなたにとって必要な存在である価値がある女なのか...」

フィルマン「(セリフ)まだそんなことを言っているのか、君は」

ルーシー「(セリフ)だってわからないんですもの。あなたはわたくしのどこを認めてくれたのか...」

フィルマン「(セリフ)心さ...。お前のその真っすぐな...煌めくように澄んだその心」

フィルマン「(セリフ)そんな君を見て思い出したんだ。若い頃の自分をね... 不思議なもんだな」
監督「(...さすがに、期待をしすぎたかな...)」

そしてキスシーン...になるはずが...

ルーシー「ずるいわよ...あなたって男の人は...」
フィルマン「...!?」

監督「...」

監督「...来たか」

ルーシー「そうやってさんざん他の女を騙してきたの?本当に罪な男ね」

カメラマン「(こんなセリフ台本にあったっけ...??)」

ルーシー「どう?これで満足?おじさま??」
フィルマン「...」

ドンッ!!

フィルマン「...いたずらなその表情も、素敵じゃないか」

ルーシー「...」

ルーシー「...」

監督「はいカットぉ~!!ちょっと休憩しようか!!」
フィルマン「...」

撮影スタッフ「はい!では一時休憩としま~す」
ルーシー「...」
そして休憩時間中...

...

ぼ~っ....

コツコツコツ...

ルーシー「...!!」

フィルマン「...挑発のつもりか??」

フィルマン「...なかなかやるじゃあねえか」

ルーシー「...ちっ、ちちち」

ルーシー「違うわよ!!」

ルーシー「わたしなりに登場人物の心情を考えてこっちのほうがいいかな~っと思ってやってみただけ!!」

ルーシー「てかなによ挑発って...そ、そんなことあなたにするはずないじゃない!する理由もないし!」

ルーシー「てかてか、わざわざここまで来て掘り返さないでくれる!?結局失敗して取り直しになっちゃって、みんなに迷惑かけちゃって...それに...」

ルーシー「...」

フィルマン「...『それに』?」

ルーシー「...な、なんでもない...」

フィルマン「...」

フィルマン「お前、酒飲めるか?」
ルーシー「...えっ?」
つづく...
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