とあるセレブの誕生秘話⑪
「あなたのことはそれほど(後編)」
フィルマン「ほら、今日は俺のおごりだ。飲んでくれ」
ルーシー「...」
ルーシー「どういう風の吹き回し??なんか企んでんでしょ?」
フィルマン「..別に。ただの気まぐれさ」
ルーシー「絶対嘘。...あ、分かった。散々私を酔わせてこの後ホテルに連れ込むんでしょ。マジであり得ないんですけど」
フィルマン「そそられねえ女に欲情なんてできるかよ」
ルーシー「な...はあっ!?」
ルーシー「へっ、いいも~ん。あたしには電話をすればすぐに飛びついてきてくれるイケメンシムがたくさんいるし~」
フィルマン「勘違いも甚だしいな。病院そこにあるから連れてってやろうか?」
ルーシー「いい加減殴っていい?」
ルーシー「てかさ、なんであたしを飲みに誘ったわけ?あたしたち、そんなに仲良くもないじゃん。むしろあんた、わたしよりはるかにセレブだし、キャリア年数長いし...」
フィルマン「...」
フィルマン「...お前はなんで『役者』になろうと思ったんだ?」
ルーシー「え、何急に...」
ルーシー「いたってシンプルな理由よ。ものすっごい憧れていた俳優さんがいたから。ただそれだけ」
フィルマン「...俳優?女優じゃないのか?」
ルーシー「そ。俳優さん」
フィルマン「...理解できないな。同性に憧れ抱くもんだろ、普通」
ルーシー「あーあ、これだからジジイって嫌なのよ。なんでもかんでも固定概念を押し付ける。あ~ろうがい老害☆」
フィルマン「...し返してきやがったな、こいつ...」
ルーシー「その人はね、あたしにとって『ヒーロー』だったの」
フィルマン「『ヒーロー』?」
ルーシー「うん」
ルーシー「まあ厳密にいうとその人の役柄は『ヒール』だったんだけどね。ほらあたし、小さい頃からこんな性格だったからさ、嫌われ者だったんだ。だからいっつも独りぼっちだった。」
フィルマン「...」
ルーシー「で、あるときたまたま見てたドラマにね、その俳優さんが出ててさ。周りからものすごく嫌われている役柄で、まあ『ヒール』だから当たり前なんだけど、ものすごくカッコよくてさ」
ルーシー「その『キャラクター』じゃなくて『俳優』さんに勇気づけられたっていうか...うまく言えないけど、こういう生き方もあるんだよって教えてくれた気がしたの。嫌われ者でも、いいじゃないって。だからあたしも、この人みたいに演技を通して何かを伝えられる人になりたいなって...」
ルーシー「...それに...」
フィルマン「...『それに』...なんだよ?」
ルーシー「...ぎもぢわるっ.....」
フィルマン「はあ!!?」
ルーシー「吐きそう...」
フィルマン「お、お前ちょっと待て...ここでh」
ルーシー「お ゛ え ゛ え ゛ ぇえ えぇ えっ~~!!」
フィルマン「うぉおお!??俺の服がぁ~!?」
つづく...
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